冬季五輪で注目を集めるカーリングは、静かな競技に見えて実は高度な戦略が詰まった頭脳スポーツです。
しかし、エンドやハンマー、フリーガードゾーンなどの専門用語が多く、「ルールが難しそう」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、冬季五輪カーリングのルールを初心者向けにわかりやすく整理し、得点の仕組みから戦術の基本、ミックスダブルスの違いまで丁寧に解説します。
観戦前に読むだけで、試合の見え方が大きく変わるはずです。
冬季五輪カーリングのルールとは?初心者が最初に知るべき全体像

まずは、冬季五輪カーリングのルールの全体像をつかみましょう。
細かい専門用語よりも、試合の流れをイメージできることが理解への近道です。
ここでは競技の特徴と、1試合の基本構造をわかりやすく整理します。
カーリングはどんな競技?氷上のチェスと呼ばれる理由
カーリングとは、氷上でストーンを滑らせ、円形の標的「ハウス」の中心にどれだけ近づけられるかを競う団体競技です。
ストーンは約20kgあり、回転をかけることでゆるやかに曲がります。
この曲がり方を計算しながら配置を考えるため、戦略性が非常に高い競技として知られています。
相手のストーンの位置を読み、次の一手を逆算していく様子は、まるで盤上で駒を動かすチェスのようです。
カーリングは力よりも戦略と精度が勝敗を分ける頭脳スポーツです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 競技人数 | 1チーム4人 |
| 使用する石 | 約20kgのストーン |
| 勝敗の決定方法 | ハウス中心に近いストーン数で得点 |
| 競技の特徴 | 戦略性・チームワーク・精密性 |
試合は何エンド制?1試合の基本的な流れ
カーリングの1試合は「エンド」と呼ばれる単位で進みます。
エンドとは、野球でいう「回」のようなものです。
冬季五輪では10エンド制で行われるのが通常です。
1エンドでは両チームが交互にストーンを投げ、各チーム8投ずつ、合計16投が実施されます。
16投が終わった時点で得点を計算し、次のエンドへ進みます。
これを10回繰り返し、総得点が多いチームが勝利となります。
エンドごとに得点がリセットされるわけではなく、合計点で勝敗が決まる点に注意が必要です。
10エンドを通じた総合戦略が冬季五輪カーリングの最大のポイントです。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| エンド数 | 通常10エンド |
| 1エンドの投球数 | 各チーム8投 |
| 総投球数 | 1エンド合計16投 |
| 勝敗 | 10エンド終了時の総得点 |
カーリングの得点ルールをわかりやすく解説
次に、初心者が最も気になる得点の仕組みを解説します。
ルール自体はとてもシンプルですが、実際の試合では戦術と深く結びついています。
ここを理解すると、観戦の面白さが一気に広がります。
得点はどう決まる?ハウスとボタンの関係
得点は、エンド終了時にハウスの中心に最も近いストーンを置いたチームに入ります。
ハウスの中心は「ボタン」と呼ばれます。
相手チームより中心に近いストーンの数だけ得点が加算されます。
たとえば、最も近い2つが同じチームのストーンであれば2点です。
ただし、相手のストーンが途中に1つでも割り込めば、それ以上は加点されません。
得点できるのは1エンドにつき片方のチームだけという点が重要です。
中心にどれだけ近づけるかが、カーリングの得点のすべてです。
| 状況 | 入る得点 |
|---|---|
| 最も近い1個のみ | 1点 |
| 最も近い2個が同チーム | 2点 |
| 相手が途中に1個入る | その時点までの点数 |
| ハウス内にストーンなし | 0点(ブランク) |
1エンドで入る点数の上限と実際の試合傾向
理論上は、1エンドで最大8点が入ります。
これは8投すべてが相手より中心に近い場合です。
しかし、オリンピックレベルでは2点から3点が一般的です。
大量得点はまれで、むしろ1点をどう取るかが戦略の鍵になります。
あえて0点で終える「ブランクエンド」という選択もあります。
ブランクエンドは失敗ではなく、次の戦術につなげるための計算された選択です。
得点は単なる結果ではなく、次のエンドを見据えた戦略の一部です。
| 得点パターン | 発生頻度(五輪レベル) |
|---|---|
| 1点 | 非常に多い |
| 2点 | よくある |
| 3点以上 | やや少ない |
| 8点 | 極めてまれ |
リンク構造とショットの基本ルール
ここでは、冬季五輪カーリングのルールを理解するうえで欠かせないリンク構造とショットの基礎を解説します。
氷上のどこに何があるのかを知るだけで、テレビ観戦の理解度が一気に上がります。
専門用語も登場しますが、できるだけ身近なイメージに置き換えて説明します。
ハウス・シート・ホッグラインの意味
カーリングの競技場は「シート」と呼ばれ、幅約4.75メートル、長さ約45メートルあります。
その先端にある円形の標的が「ハウス」です。
ハウスの中心は「ボタン」と呼ばれ、ここにどれだけ近づけられるかを競います。
得点になるためには、ストーンがハウスの円に少しでもかかっている必要があります。
さらに「ホッグライン」という線があり、ストーンは相手側のホッグラインを越えなければ無効になります。
投げる側のホッグラインを越える前にストーンから手を離さなければならない点にも注意が必要です。
これらのラインや円は、いわばゲーム盤のマス目のようなものです。
リンク構造を理解することが、カーリング観戦の第一歩です。
| 名称 | 役割 |
|---|---|
| シート | 競技が行われる氷のレーン全体 |
| ハウス | 得点対象となる円形エリア |
| ボタン | ハウス中心の最重要地点 |
| ホッグライン | 投球の有効・無効を分ける基準線 |
ストーンの投げ方とカールの仕組み
選手は滑りやすいシューズを履き、片足で氷上を滑りながらストーンをリリースします。
このとき、ストーンに回転をかけます。
この回転によってストーンはまっすぐではなく、ゆるやかに曲がります。
この曲がりを「カール」と呼びます。
カールは氷表面の細かな凹凸と摩擦の影響で生まれます。
まるでボウリングのフックボールのように、最後にふわっと曲がるイメージです。
カールの読み違いは、そのまま作戦の崩れにつながります。
狙い通りの位置に止める精度こそがトップレベルの条件です。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| リリース方法 | 片足で滑りながら投球 |
| 回転 | 左右どちらかに回転をかける |
| カール | 回転によって生じる曲がり |
| 難易度 | 氷の状態で変化する |
スイーピングはなぜ重要なのか
カーリング最大の特徴がスイーピングです。
スイーピングとは、ストーンの進行方向の氷をブラシでこする行為です。
こすることで氷の表面がわずかに溶け、摩擦が減少します。
その結果、ストーンは曲がり幅も小さくなり、より遠くまで進みます。
つまり、距離と曲がりを微調整する役割があります。
テレビで激しくブラシを動かしているのは、ミリ単位の誤差を修正しているからです。
スイーピングの判断が遅れると、狙いは簡単に外れてしまいます。
スイーピングは単なる補助ではなく、勝敗を左右する戦術行為です。
| 効果 | 変化 |
|---|---|
| 摩擦減少 | 距離が伸びる |
| 曲がり抑制 | 直線的に進む |
| 連携不足 | 狙いから外れる |
ポジションの役割とチーム戦術の基礎

カーリングは4人で戦うチーム競技です。
それぞれの役割を理解すると、なぜそのショットが選ばれたのかが見えてきます。
ここではポジションごとの特徴と、戦術の基本を整理します。
リード・セカンド・サード・スキップの役割
リードは最初の2投を担当します。
主に「ガード」と呼ばれる守備的なストーンを配置します。
セカンドは3投目と4投目を担当します。
状況次第で相手のストーンを弾く「テイクアウト」も担います。
サードは5投目と6投目を担当し、作戦面でスキップを支えます。
スキップは最後の2投を投げる司令塔です。
ショット精度だけでなく、試合全体を読む力が求められます。
カーリングは4人全員の役割がかみ合って初めて機能します。
| ポジション | 主な役割 |
|---|---|
| リード | 序盤の配置づくり |
| セカンド | 攻守のバランス役 |
| サード | 作戦共有と精密ショット |
| スキップ | 戦術決定と最終投球 |
ハンマーとは?後攻が有利な理由
最後に投げる権利を「ハンマー」と呼びます。
ハンマーを持つチームは後攻になります。
最後に投げられるため、得点を調整しやすいのが最大の強みです。
たとえば、1点だけを取り次のエンドも有利な展開にする戦術があります。
得点が入らなかった場合は「ブランクエンド」となり、ハンマーは維持されます。
ハンマーを失うタイミングは試合の流れを大きく左右します。
ハンマーをどう使うかが冬季五輪カーリング最大の戦術テーマです。
| 状況 | ハンマーの行方 |
|---|---|
| 得点を取った | 相手に移る |
| ブランクエンド | 同じチームが維持 |
| 失点した | 次エンドで獲得 |
フリーガードゾーンルールが戦術を変えた理由
現代カーリングにはフリーガードゾーンルールというものがあり、面白くしているます。
これは序盤の一定投数まで、ガードストーンを除去できないという規定です。
このルールにより、序盤から複雑な配置が生まれます。
攻撃側は複数得点を狙いやすくなります。
守備側は単純に弾くだけでは済まなくなります。
フリーガードゾーンルールは試合をよりダイナミックにする装置です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 序盤のガードストーン |
| 効果 | 攻撃的展開の促進 |
| 戦術影響 | 大量得点の可能性増加 |
延長戦・ミックスダブルスなど特別ルール
ここでは通常の10エンド制とは少し異なる特別ルールを解説します。
延長戦やミックスダブルスを理解すると、冬季五輪カーリングのルールをより立体的に理解できます。
大会によって形式が違う理由も含めて整理していきます。
エキストラエンドの仕組み
10エンド終了時に同点の場合、「エキストラエンド」と呼ばれる延長戦が行われます。
これはいわばサッカーの延長戦のようなものです。
基本ルールは通常のエンドと同じです。
1エンドのみで勝敗を決定します。
ハンマーは第10エンドの状況に応じて決まります。
通常はハンマーを持つチームが有利とされます。
しかし守備が成功すれば、先攻側でも勝利は可能です。
延長戦では1投のミスが即敗戦につながる可能性があります。
エキストラエンドは精神力と戦術判断が最も試される場面です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生条件 | 10エンド終了時に同点 |
| 方式 | 1エンド制 |
| ハンマー | 前エンドの状況に準ずる |
| 特徴 | 一発勝負で決着 |
ミックスダブルスの違いと特徴
冬季五輪では男女2人1組で行うミックスダブルスも実施されます。
通常の4人制とはいくつか重要な違いがあります。
各チーム5投ずつ、合計10投が1エンドあたりです。
試合は8エンド制で行われます。
さらに、各エンドの開始時点で2つのストーンがあらかじめ配置されています。
そのため序盤から複雑な展開になります。
試合テンポが速く、攻撃的な展開が多いのが特徴です。
ミックスダブルスは短時間で戦術の駆け引きを楽しめる種目です。
| 項目 | 4人制 | ミックスダブルス |
|---|---|---|
| 人数 | 4人 | 2人 |
| エンド数 | 10エンド | 8エンド |
| 1エンド投数 | 各8投 | 各5投 |
| 初期配置 | なし | 事前配置あり |
初心者でも試合が一気に面白くなる観戦ポイント
ルールを理解したら、次は観戦の視点です。
どこに注目すれば試合が面白くなるのかを整理します。
戦術の意図が見えると、カーリングは一気に奥深く感じられます。
攻撃と守備の選択をどう見るか
カーリングでは毎投が攻撃か守備の選択です。
ガードを置くのか、相手を弾くのかで試合の流れが変わります。
大量得点を狙う場面では、ハウス内に複数ストーンをためます。
リードしている場合は、相手のチャンスを減らすシンプルなショットを選びます。
得点差とエンド数によって最適解は変わります。
テレビ画面の配置図を見ながら、「次は何を狙うか」を考えると面白さが増します。
戦術の意図を読むことが観戦の最大の醍醐味です。
| 状況 | 選ばれやすい戦術 |
|---|---|
| ビハインド | 複数得点狙い |
| リード中 | 安全策中心 |
| 終盤 | ハンマー活用重視 |
測定・審判・フェアプレー精神
カーリングは自己申告精神を重んじる競技です。
反則があれば選手自ら申告する文化があります。
これは長年の伝統に基づくものです。
ストーンの距離が肉眼で判断できない場合は、専用測定器で中心からの距離を測定します。
ミリ単位で勝敗が分かれることもあります。
静かな会場の緊張感はカーリング特有のものです。
フェアプレーと精密測定が競技の信頼性を支えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判定方法 | 選手の申告+審判確認 |
| 距離測定 | 専用測定器使用 |
| 特徴 | 高いフェアプレー精神 |
まとめ|冬季五輪カーリングのルールを理解して観戦を楽しもう

冬季五輪カーリングのルールは、一見すると難しそうに感じます。
しかし本質は「中心にどれだけ近づけるか」というシンプルな競技です。
そこにハンマーやフリーガードゾーンなどの戦術要素が重なり、奥深さが生まれます。
得点の仕組みとハンマーの意味を理解すれば、試合は何倍も面白くなります。
次の冬季五輪では、ぜひ配置と戦略に注目してみてください。
きっとカーリングの本当の魅力が見えてくるはずです。
| 理解すべきポイント | 理由 |
|---|---|
| 得点計算 | 試合の基本構造を理解できる |
| ハンマー | 戦術の軸になる |
| フリーガードゾーン | 現代戦術の鍵 |

